脂質代謝
●総コレステロール(T-chol):基準値 120~220mg/dl
血液中に含まれるコレステロールの量を現しています。基準値より高い場合は、「高コレステロール血症」と診断されます。高コレステロール血症は、「糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群」のほか、「ステロイド薬の副作用」などから起こることもありますが、多くは「過食やコレステロールのとり過ぎ、運動不足」などの生活習慣が原因で起こります。高コレステロール血症を放置しておくと、動脈硬化が促進され、「狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患」を起こす危険性が高くなるので、治療が必要です。一方、検査値が基準値より低く110mg/dl以下の場合には、「貧血、栄養不良、甲状腺機能亢進症、肝臓病」などが疑われます。
●HDLコレステロール(HDL-chol):基準値 40~70mg/dl
HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、血液中の余分なコレステロールを回収して肝臓に戻し、動脈硬化を防ぎます。総コレステロール、LDL、中性脂肪が基隼値の範囲でも、HDLが基準値より低ければ、「低HDLコレステロール血症」と診断されます。HDL値が低くなる原因としては、「運動不足や喫煙」などが考えられ、放置しておくと、「動脈硬化、高血圧症、虚血性心疾患、糖尿病、肝硬変」などを起こしやすくなります。
●LDLコレステロール(LDL-chol):基準値 70~140mg/dl
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、酸化されると、血管壁に沈着し、動脈硬化を起こす直接の原因となります。そのため、脂質代謝の検査値のなかで最も重要視されます。基準値以上であれば、「高LDLコレステロール血症」と診断されます。LDL値が高くなる原因としては、「コレステロールを多く含んだ食品のとり過ぎ」が考えられます。放置しておくと、動脈硬化から「虚血性心疾患や脳卒中」を起こす危険性が高くなるほか、「糖尿病」の原因にもなります。
●中性脂肪(トリグラセライド、TG):基準値 30~149mg/dl
血液中に含まれる中性脂肪の量を現しています。基準値より高い場合は、「高中性脂肪血症」と診断されます。血液中の中性脂肪が異常に多くなると、「動脈硬化」のほか、「急性膵炎、脂肪肝」などの原因にもなります。中性脂肪が高くなる原因としては、「食事で摂取するエネルギー量が多過ぎる」ことが、第一に考えられます。特に肥満の人ほど、摂取エネルギー量が多いため、肥満している人は、中性脂肪が高くなりやすい傾向があります。また、ふだんの食事量が少ない人でも、検査の前に食事をすると、数値が高くなります。そのため、検査の前は少なくとも12時間は絶食することが望ましいとされています。このほか、「糖尿病、甲状腺機能低下症、閉塞性黄疸、ネフローゼ症候群」の病気が原因で、中性脂肪値が高くなることもあります。基準値より低い場合は、「甲状腺機能、亢進症、肝硬変」などが疑われます。